北緯43度から

多分世界の第三者

人里を離れてどこかの森の中の小屋に住みたい

高校生の頃からしばしば思っていた。
 
人がいる社会から離れたいと。
 
キャラクターで例えれば、魔女の宅急便ウルスラや、パワーパフガールズのファジーかな。
 
どこかの森の奥地で誰にも気付かれず、ひっそりと暮らす。
 
小屋に暮らし、絵を描いたり楽器を弾く。
 
時折近くの町に買い物に出たり散歩したり。少なくとも一人の人として生きていることは忘れないように、必要最低限の現代を楽しむ。
 
願わくば、今まで出会った全ての人の記憶から、私についての記憶を消し(わざわざしなくてもすでに忘れ去られているだろうが)、ネットも全て遮断する。
 
町の本屋で買ってきた本を読み漁り、人としてこの世界の物事を知りながらやはり密かに生きる。
 
私は人の世もネットに溢れる情報も、社会の早すぎる流れもうんざりだ。
 
私は平均的な人間が送るような人生を送ることはできないだろう。
 
女としての幸せなんて、もってのほかだった。
 
もう周りの幸せそうな話を聞くのだって、いい加減辛い。
 
地元を離れてここ数年都会に住み、喧騒と社会にうんざりしてきた。
 
今はこの地にたどり着いて、そのうんざりも少しマシになった。
 
それでも人里を離れてどこかの森の中の小屋に住みたいという願いは、やはりずうっと心のどこかにある。
 
この地にたどり着いたのは、きっとそんな森のような環境が近くにあるかと思ったからだ。
 
理論的に考えながらも、実は無意識的に本能か何かに動かされる感覚だった。
 
果たして願いが叶うのはいつだろうか。
 
絵も音楽も本も、少なくとも完成された何かができるのだろうか。