20歳・7月の自分へ
tabibitoAよ。
なに職場のトイレで泣きわめいているんだ。
暑苦しい中ぼろぼろ涙流したって顔がべたつくだけだろう。
涙が止まったらすぐ部屋に戻りな。
さもなくば貴重な休憩時間が減っちまうだけだ。
まあ隣に座ってる上司にはあんたが泣いていたことをすぐに見抜かれるだろうが、その理由なんて聞かれずにすぐ休憩時間が終わるさ。
今あんたは新卒の職場でまだうまく馴染めずどうしようもなく悔しくてやるせない毎日が続いていることだろう。
目の前や陰で悪口を言われ続けようが、居座り続けてとにかく、とにかく働き続けたあんたはいつかその連中に認めてもらえるだろう。
認めてもらわなくて結構だろうが、そうとそうでないとでは居心地が格段に違う。
そこであんたは仕事の真の楽しさとやりがいを知ることになるだろう。
人に関わる仕事なら、なおさら人という存在について、そして人の生活がどんなことなのか知ることになるだろう。
これからあんたはちょっくら大陸を歩き、いろんな国を見て、いろんな人と出会い、家族を始めいろんな人に助けてもらいながら、パンデミックに翻弄され、戦争に絶望し、日本に帰っても移動を繰り返しては悩み、時に落ち込み、時に喜ばしく、激しく生きていくだろう。
その都度人を憎んだりもするだろうが、最終的にあんたは人というのがどんなものかいずれ知ることになるだろう。
まあ、「まだ知らない」ことが楽しみに感じるあんたには、いちいち具体的な出来事なんて書く必要ないだろうねえ。
いつか自分の目で確かめな。
不安でいっぱいになるだろう。
とにかくなにがあっても大丈夫さ。なんとかなるさ。
「誰も信じるな。」よく旅先の現地の人に言われたものさ。
日本に比べると情勢不安な国々であれば、その言葉の真意も納得できる。
ただ自分はその後に付け足したい。
「誰も信じるな。しかし人には優しくあれ。」
親切に付け込まれない程度にな。
なぜならあんたはこれから、家族や家族以外のいろんな人、本当にいろんな人に助けられることになるんだ。職場でも旅先でも。
仕事で困ったら同僚や先輩と協力し合い、旅先で迷ったら現地の人が導いてくれる。
食べるものがなかったら誰かがご飯を分けてくれたり。
それがどこの国の人か、男か女か、何歳か、なんて関係ないんだ。
みんな人間は一緒なんだ。
育つ環境が違っていても、宗教が違っていても、
どこにだって悪どい人はいる。あんたがこれから出会う親切な人が悪どい人の可能性だってある。
もしかするとその人は過去に罪を犯した人や今も悪いことをしている人かもしれない。
なんでそんな人でもあんたに親切にしてくれるのか、それはこれからあんたが考えていけばいい。
大事なことは、誰にでも出会った時にあんたがどのように振る舞い、現地の人と関わっていくかなんだ。
小さな親切が人を変えることだってあるかもしれないし、その親切を利用する人だっている。だけど人間長い目を見てみれば、親切の蓄積で、みんな支え合って生きているんだ。
一期一会でもう二度と会うことはなくても、せっかく出会った人なんだ。
今この世界を同じ時間を生きている者同士でその瞬間を楽しめたら言うことなしだろう。
たまらなく悲しい別れだってこれから経験するんだ。
だけどこの経験に限ったことじゃない。別れはこれから何回だってやってくる。
その度にあんたは針山よりも険しい道のりを乗り越えることになるだろう。
思いっきり泣け。思いっきり叫べ。
さすれば道のりはそう長くない。
この世界や社会が憎くてたまらなくなる時もあるだろう。
どうしようもない。必死に頑張っても誰にも理解されずに報われないことだってある。
かといってあんたはそこで諦めない。
なんだかんだ「馬鹿野郎」を発揮して踏ん張ることになるだろう。
それでいいんだ。
どんなことがあっても、しがみついて這いつくばって生きていけ。
死んだらそこで終わりなんだ。
まだ見ぬ世界を見ずに、まだ出会ってない人に出会わずに人生を終えられるものか。
絶望することも少なくはないが、それよりも未知なる喜びと笑いに満ちている。
俺は生きててよかった。
とりあえず27歳の今はそう思うよ。
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34歳・7月の自分へ。
tabibitoCへ。
今とても不安です。
私はどうすればいいかわかりません。
20代後半になり、いろいろと焦り始めました。
20代前半でぼんやりと抱えていた不安は、時間をかけて現実のものになろうとしています。
34歳のあなたはそれらがどんな不安かもうご存知で、きっと覚えていると思います。
この不安を検索してみると「クォーターライフクライシス」なんていう言葉が出てきました。
自分の人生を変えるために今頑張って動いていますが、果たしてこれでいいのかまだわからない。
自分自身の疑問を無視してとりあえず突っ走っています。
そして散々いろんな人に甘えてきたので、今私は踏ん切りをつけたのです。
きっと今から私は必死に働いて、良いことも悪いことも経験して、今日までの出来事以上に波乱万丈な人生を送ることになるのかもしれません。
たぶんそうなるように自ら動いているんです。
直近の職場で退職時に渡してくれた表彰状覚えていますか?
「修羅場を乗り越えた〜〜云々」なんて書かれているんですよ。
まさにその通りです。
きっと34歳になるまでも修羅場続きなのでしょう。
この世はどこだって阿修羅なのでしょうか。
私は楽しく安心して人生を送りたいし、いつだって笑っていたいです。
大きなことは求めていませんから、最低限の人生に時折濃い色合いを付け足していたいんです。
34歳のあなたには、今背中を押してほしいです。
どうか胸を張って言ってください・・・
「いけるいける!」
「どうにかなるって!」
「とりあえずつっぱしれ!」
「まあ頑張ってたらなんとかなる!」
わかりました。
頑張ります。
34歳のあなたへ。どうかこれからも人生を楽しんでください。
お身体をご自愛ください。
7年後にお会いしましょう。
tabibitoBより。